住所の届出
引越しのあとの住民票は、いつまでに?——住民基本台帳法は、転入と転居を「十四日以内」、転出を「あらかじめ」と書き分けていました
荷物を運び終えて、段ボールの山の中で一息ついた夜。ふと、役所の手続きがまだだったことを思い出します。住民票は、いつまでに移せばよかったのか。
引越しの日取りを決めるときは、業者の予定や家賃の日割りのほうに頭が向きがちです。役所への届出は後回しになり、気づいたときには何日かたっていた、ということも起こります。
新しい部屋で暮らし始めてから、何日までなら間に合うのか。前に住んでいた市区町村には、何かを出しておく必要があったのか。遅れたら、何か起きるのか。
引越しを取りやめたときの手数料の話は、前の記事で標準引越運送約款から読みました。こちらは、荷物ではなく住所のほうの話です。
住所の届出を決めているのは、住民基本台帳法という法律です。今回は e-Gov 法令検索でその条文を開き、あわせて総務省の「住所の異動届は正しく行われていますか?」という頁を読みました。
この記事では、条文と頁の文を2026年9月27日の時点のまま引きます。自分の場合に何が要るかは、住んでいる市区町村の窓口の案内で確かめてください。
・別の市区町村へ移ったら、転入をした日から14日以内に転入届(第22条)
・同じ市区町村の中で移ったら、転居をした日から14日以内に転居届(第23条)
・前の市区町村には、転出する前に「あらかじめ」転出届(第24条)
・正当な理由なく届け出ないと、5万円以下の過料(第52条)
・マイナンバーカードを持つ人には、転入届で書類を添えなくてよい特例がある(第24条の2)
新しい市区町村への届出は、何日以内?
引越し先の役所には、いつまでに行けばいいの?
別の市区町村に移ったときの届出は、第22条が受け持ちます。条文の書き出しは、転入という言葉の意味から始まります。
転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。
期限は、その同じ文の中にありました。
転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項
届け出る事項として、条文は氏名、住所、転入をした年月日、従前の住所などを並べていました。数え始めは、届出の日でも鍵を受け取った日でもなく、転入をした日です。
同じ市区町村の中で移ったときは?
同じ市の中で部屋を替えただけでも、届出はいる?
同じ市区町村の中での引越しは、法律の上では転居と呼ばれ、第22条とは別の条に分けられていました。
転居(一の市町村の区域内において住所を変更することをいう。
期限の書き方は、第22条とそろえてあります。
転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。
総務省の頁も、同じ市区町村の中で移る場合を別の行に分け、住民票のある市区町村に転居届を出すと案内していました。
前に住んでいた市区町村には、何を出すの?
引越す前の役所には、何か出しておくものがある?
第22条と第23条が「十四日以内」と日数で区切っていたのに対し、転出届の条は短い1文でした。
転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。
引越したあとではなく、出る前に届け出る形です。総務省の頁は、2つの市区町村での手続きを順に並べていました。
引越前の市区町村 [転出前に] 転出届を提出して転出証明書を受け取る
引越先の市区町村 [転入した日から14日以内に] 転出証明書を添えて転入届を提出
前の市区町村で受け取った転出証明書を、新しい市区町村での転入届に添える、という流れです。
マイナンバーカードを持っていると、何が違う?
マイナンバーカードがあると、手続きが変わるって本当?
第22条第2項は、転入届に住所の異動に関する文書を添えるよう求める項です。第24条の2の第1項は、その例外を置いていました。
個人番号カードの交付を受けている者が転出届(前条の規定による届出をいう。以下この条において同じ。)をした場合においては、
この場合の最初の転入届には、第22条第2項は適用しないと続きます。同じ項には「ただし、政令で定める場合にあつては、この限りでない。」という一文も付いていました。
総務省の頁は、住民票の住所変更とあわせて、引越し先の市区町村にマイナンバーカードを持参し、必要な手続を行うよう書いています。カードそのものの住所も、この機会に書き換えることになります。
届け出るのが遅れたら、どうなるの?
14日を過ぎてしまったら、罰があるの?
罰則の条は、法律の終わりのほうにありました。
正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。
総務省の頁も、住民票の住所変更の届出を法律上の義務と書き、同じ額に触れていました。
正当な理由がなく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されることがあります。
頁の書き方は「処されることがあります」です。遅れたら必ず過料になる、とまでは書かれていません。ただ、届出そのものは義務として置かれています。
この記事で確認したこと
・転入届は、転入をした日から十四日以内(住民基本台帳法第22条)
・転居届は、転居をした日から十四日以内(第23条)
・転出届は、あらかじめ(第24条)。前の市区町村で転出証明書を受け取り、転入届に添える(総務省)
・マイナンバーカードを持つ人の最初の転入届には、第22条第2項が適用されない。ただし政令で定める場合を除く(第24条の2)
・正当な理由なく届け出ないと、五万円以下の過料(第52条第2項)
よくある質問
14日は、どの日から数えるのですか
第22条は「転入をした日から」、第23条は「転居をした日から」と書いていました。この記事で読んだ条文は、届出の日や契約の日を起点にしていません。新しい住所に移った日がいつに当たるかは、住んでいる市区町村の窓口で確かめてください。
引越しの荷物を運ぶ前に、転出届を出してもよいのですか
第24条は、転出をする者は「あらかじめ」届け出ると書いていました。総務省の頁も、転出届を「転出前に」出す手続きとして並べています。何日前から受け付けるかは、この記事で読んだ条文と頁には書かれていませんでした。
引越し業者との契約は、住民票の届出と関係がありますか
今回読んだ条文と頁は、住所の届出だけを扱っていて、引越し業者との契約には触れていませんでした。業者の解約手数料については、前の記事で標準引越運送約款の条文を読んでいます。
引越しの当日に、しておくとよいことはありますか
作業の前後の状況を写真や動画で残しておくことを、国民生活センターが挙げていました。3本目の記事で読んでいます。
この整理が変わる条件
- 住民基本台帳法の第22条から第24条の2、第52条が改正された場合(本記事は2026年9月27日に e-Gov 法令検索で読んだもの)
- 総務省が、今回読んだ頁の案内を改めた場合
- マイナンバーカードを使った転出・転入の手続きの仕組みが変わった場合
出典
- 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第22条・第23条・第24条・第24条の2・第52条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000081
- 総務省「住所の異動届は正しく行われていますか?」 https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/topics081127.html
荷ほどきの前に、新しい市区町村の窓口の受付時間と、持っていくものを調べておいてください。
上の出典を引いて確かめた日: