なぜそうなるか

引越しのキャンセル料は、いつから、いくらまで?——標準引越運送約款は「前々日・前日・当日」に限り、見積運賃等の20・30・50パーセント以内と定めていました

引越しの日取りを決めて見積もりを取ったあとで、転勤の時期がずれたり、新しい部屋の入居日が変わったりすることがあります。

そうなると気になるのが、取りやめたときにいくら払うのか、という点です。見積もりを取っただけで費用がかかるのかも、はっきり分からないまま話が進みがちです。

引越しの運送には、国が定めた「標準引越運送約款」という決まりの文があります。国土交通省の告示で、見積もりから荷物の受け渡し、解約までの扱いを条文で定めたものです。

この記事では、北信越運輸局のサイトに置かれている約款の本文(「最終改正 平成三十一年」と書かれたもの)と、国土交通省の2018年1月の報道発表、改正についてのQ&Aを読み、書かれていることを並べました。

条文の中の「当店」は引越しの運送を引き受ける事業者を、「荷送人」は荷物を送る側、つまり引越しを頼む人のことです。

扱うのは、この約款の条文に書かれた扱いだけです。どの事業者に頼むか、料金の相場はいくらかは扱いません。約款の本文は2026年9月26日に読んだもので、その後の改正の有無は確かめていません。

この記事でわかること
・見積料は請求しないのが原則で、下見をした場合だけ下見の費用がかかることがある
・解約や延期の手数料がかかるのは、受取日の前々日・前日・当日に取りやめたときに限られる
・上限は前々日が20パーセント、前日が30パーセント、当日が50パーセント以内
・受取日の3日前までの確認を事業者がしなかったときは、手数料を請求しない
・2018年6月1日の改正で、前々日の手数料ができ、割合が上がった

見積もりを取るだけで、お金はかかるの?

見積もりを頼んだら、それだけで費用を取られる?

約款の第3条は、見積料は請求しないと書いていました。例外は下見をした場合です。

見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。

下見の費用を取る場合も、見積りの前に金額を伝えて了解を得る、と同じ項が続けています。内金や手付金についても、見積りの際には求めないと書かれていました。

当店は、見積りの際に内金、手付金等(前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。)を請求しません。

見積もりのあとに渡される見積書には、書く事項の決まりがあります。第3条第2項は9つの項目を挙げ、その6つ目が「解約手数料の額」でした。

見積りを行ったときは、次の事項を記載した見積書を申込者に発行します。

キャンセル料がかかるのは、いつ?

1週間前に取りやめても、手数料はかかる?

第21条は、手数料を請求できるのを受取日の前々日・前日・当日に取りやめたときに限るとしていました。

解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。

ここでいう受取日は、見積書に書かれた、事業者が荷物を受け取る日です。条文の上では、それより前の日に取りやめた場合は、この手数料の対象に入りません。

条件はもう1つあります。取りやめの原因が、頼んだ側の責任によるものであることです。事業者の側の都合で取りやめになったときは、この条文の手数料には当たりません。

上限は何パーセント?

取りやめた日ごとの上限の割合は、第21条第2項にあります。表にまとめると次の通りです。

取りやめた日手数料の上限
受取日の前々日見積運賃等の20パーセント以内
受取日の前日見積運賃等の30パーセント以内
受取日の当日見積運賃等の50パーセント以内
割合を掛ける元の「見積運賃等」には、料金の範囲を絞る注がありました。料金のほうは、積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱の作業に要するものに限る、という括弧書きでした。 たとえば見積書の見積運賃等が10万円なら、上限は前々日が2万円、前日が3万円、当日が5万円になります(10万円に20・30・50パーセントを掛けた当方の計算です)。条文は「以内」と書いており、この額を必ず払うという決まりではありません。

手数料とは別に、費用がかかる場合もあります。第21条第3項の文です。

解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。

手数料がかからない場合はある?

前日に取りやめたら、必ず30パーセントまでかかる?

事業者が受取日の3日前までの確認をしていなかったときは、手数料を請求しない、と第21条のただし書にありました。

その確認を定めているのは、第3条第7項です。

当店は、見積書に記載した荷物の受取日の三日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

この確認と手数料を結びつけるのが、第21条第1項のただし書です。

ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。

確認の日については、改正のQ&Aに説明がありました。3日前ちょうどでなくてもよく、それより前でも差し支えないという答えです。

3日前に確認をしなければならないということではなく、3日前より前であっても差し支えありません。

いつから今の割合になったの?

国土交通省の報道発表によれば、手数料の割合が見直されたのは2018年です。改正前は、当日が運賃の20パーセント以内、前日が運賃の10パーセント以内で、前々日の手数料はありませんでした。

改正の告示は平成30年1月31日に公布され、同じ年の6月1日に施行されています。報道発表は、見直しに期待することをこう書いていました。

直前の解約・延期の抑制により、事前に手配した車両やドライバー等が活用されない事態の発生の減少等に資することを期待しております。

改正の前に作られた見積書については、経過措置の説明もQ&Aにあります。施行日より前に見積書が作られた引越しには、改正前の約款が当てはまる、という扱いでした。

よくある質問

自分の引越しのキャンセル料がいくらになるかは、この記事で分かりますか

この記事では判断できません。額は見積書に書かれた解約手数料の額と見積運賃等、取りやめた日、取りやめの原因によって変わります。手元の見積書と、事業者から示された約款を確かめてください。

見積もりの金額は、あとで変わることはありますか

約款には、実際にかかる運賃等が見積もりと違ってきた場合の扱いを定めた条文もあります。この記事では解約と見積料の扱いに絞っており、その条文の中身は並べていません。

すべての引越しに、この約款が当てはまりますか

当てはまらない形もあります。改正のQ&Aは、定型の容器を使って定額で行う運送について、約款によらない旨を事業者が伝えた場合は約款を当てはめない、と説明していました。

この整理が変わる条件

引越しのキャンセル料のめやす
・見積料は請求しないのが原則、下見をしたときだけ費用がかかることがある
・手数料がかかるのは受取日の前々日・前日・当日に取りやめたとき
・上限は20・30・50パーセント以内で、元になるのは見積運賃等
・3日前までの確認がなければ、手数料は請求しない
・見積書には解約手数料の額が書かれる

出典

取りやめを決める前に、手元の見積書に書かれた解約手数料の額と受取日を確かめてください。

当方が上の出典を引いて確かめた日:

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